月岡芳年ほか戦争絵や開化絵などの浮世絵・錦絵を出張買取しました
月岡芳年「鹿児島暴徒降参之図」や三代目歌川広重「東京高輪之勝景」ほか、戦争絵・開化絵・美人画・風俗画・役者絵・源氏絵・合戦絵・武者絵ほか江戸時代から明治時代に制作された浮世絵・錦絵、『釈迦八相倭文庫 全58編』『北雪美談時代加々見 全48編』ほか江戸時代の和本などの古典籍、川瀬巴水ほか昭和時代の新版画や創作版画といった木版画出張にて買取りさせていただきました。大切にされていたものをお譲りくださりありがとうございます。
こちらの買取事例は月岡芳年・三代目歌川広重・尾形月耕ほか開化絵や戦争絵、安達吟光や二代目歌川国貞などの美人画・風俗画・源氏絵、歌川国芳「源三位頼政鵺退治」や落合芳幾「太平記之内 本能寺大合戦之図」といった合戦絵・武者絵・歴史画、三代目歌川国貞ほか役者絵、役者絵を中心とした浮世絵(錦絵)貼込帖、江戸時代に刊行された草双紙ほか和本、川瀬巴水ほか木版画の7つに分けてご紹介いたします。
歌川国芳ほか合戦絵などの浮世絵に関しては「歌川国芳ほか合戦絵や武者絵の浮世絵・錦絵を出張買取いたしました」、二代目歌川国貞ほか美人画などの浮世絵は「二代目歌川国貞ほか美人画などの浮世絵・錦絵を出張にて買い取り」、豊原国周ほか役者絵の浮世絵については「豊原国周や楊洲周延ほか役者絵の浮世絵を出張買取いたしました」、役者絵を中心とした浮世絵(錦絵)貼込帖に関しては「歌川国貞ほか役者絵・名所絵・武者絵など浮世絵や錦絵を出張買取」、草双紙ほか和本に関しては「草双紙『釈迦八相倭文庫』ほか和本・古典籍を出張買取いたしました」、川瀬巴水ほか木版画に関しては「川瀬巴水ほか新版画や創作版画といった木版画を出張買取いたしました」をご覧ください。
- 出張買取
- 2019年8月22日
地 域 | 東京世田谷区 |
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買取分野 |
【商品詳細】
- 書 名 : 鹿児島暴徒降参之図 3枚続
- 著 者 : 月岡芳年
- 出版社 : 津田源七
- 発行年 : 明治10年(1877)
月岡芳年は幕末から明治時代前期にかけて活躍した浮世絵師であり、日本画や洋画で活躍する弟子を何人も排出したことから「最後の浮世絵師」と評されています。
嘉永3年(1850)に12歳で歌川国芳へ入門した月岡芳年は15歳のときに挿絵と錦絵の作品を発表しました。このときは「吉岡芳年」「一魁斎芳年」と名乗っています。慶応2年(1866)には兄弟子である落合芳幾と、歌舞伎の残酷な場面を集めた『英名二十八衆句』を競作しました。無残絵(血みどろ絵、残酷絵とも)は月岡芳年が得意とした画題のひとつであり、『東錦浮世稿談』『魁題百撰相』なども制作したことから「血まみれ芳年」とも呼ばれています。無残絵が制作された背景には戊辰戦争や上野戦争といった時事的なものがあり、月岡芳年の無残絵は芥川龍之介・谷崎潤一郎・江戸川乱歩・三島由紀夫といった近現代文学の作家に大きな影響を与えました。
なお、月岡芳年というと無残絵が有名ではありますが、歴史絵・古典画・美人画・風俗画・役者絵などその画業は多岐にわたります。『英名二十八衆句』のほか『月百姿』『風俗三十二相』『新形三十六怪撰』「奥州安達がはらひとつ家の図」などが代表作として知られています。
作品名:戦地実況之奏聞之図 3枚続
絵師:山崎年信
版元:井雲甚七
発行年:明治10年(1877)
山崎年信は月岡芳年の門人であり、明治時代初期に活躍した浮世絵師です。稲野年恒・水野年方・右田年英とともに「芳年四天王」と評されました。
明治3年(1870)頃に13歳で月岡芳年のもとへ入門した山崎年信は、西南戦争を題材とした錦絵などで明治10年(1877)頃には活躍し始めており、新聞や草双紙の挿絵も手掛けました。しかし明治13年(1880)頃から師である月岡芳年との間に確執が生まれ、2年後の逃亡をきっかけに山崎年信は月岡芳年のもとを去りました。その後は「土陽新聞」の専属絵師を経て、「いろは新聞」「日出新聞」「朝野新聞」「大阪魁新聞」などに挿絵を提供したほか、西南戦争物などの錦絵を手掛けています。
作品名:東京高輪之勝景 3枚続
絵師:三代目歌川広重
版元:伊勢屋兼吉
発行年:明治27年(1894)
三代目歌川広重は初代歌川広重の門人であり、江戸時代から明治時代にかけて活躍しました。画号は一立斎です。二代目歌川広重(喜斎立祥)が初代広重の養女と離婚したことで三代目広重が婿入りすることになり、前者の存在を抹殺するため「二代目歌川広重」を自称しました。
「広重」を襲名する浮世絵師はそれぞれ「東海道五拾三次」を描いていますが、三代目歌川広重はそのほか鉄道・蒸気機関車・気船・洋風建築・洋服など文明開化の産物も積極的に画題としています。なお、三代目歌川広重が開化絵を描く際には西欧から輸入された化学染料であるアニリン染料(洋紅)を多用したため、それらの開化絵は「赤絵」と呼ばれました。
三代目歌川広重の代表作には「東京名所之内 銀座通煉瓦造鉄道馬車往復図」「上野公園 内国勧業第二博覧会美術館并猩々噴水器之図」「大日本物産図会」「江ノ島より富士眺望図」などがあります。
作品名:憲法発布鳳輦御臨幸図 3枚続
絵師:東洲勝月
版元:小林鉄次郎
発行年:明治22年(1889)
東洲勝月は明治時代の浮世絵師であり、主に憲法発布関係や博覧会関係、日清戦争絵や風俗画などを手掛けました。
東洲勝月の経歴は不明な部分が多いですが、一説によると兄とともに彰義隊として上野戦争を戦った後に辻似顔絵師や仏画絵師として活動し、その後に月岡芳年の門人である浮世絵師・水野年方の弟子となったといわれています。錦絵では「憲法発布上野賑」「国会議事堂之図」「米船渡来旧諸藩士固之図」「靖国神社臨時大祭之図」などの作品が知られています。
作品名:東京築地保弖留館繁栄之図 3枚続
絵師:二代目歌川国輝(一曜斎国輝)
版元:大黒屋平吉
二代目歌川国輝は歌川国貞(三代目歌川豊国)の門人であり、一曜斎・一雄斎とも号した江戸時代末期から明治時代始めにかけての浮世絵師です。
「国輝」と名乗ったのは慶応元年(1865)の頃で、それ以前は二代目歌川国綱または一蘭斎国綱の名で諷刺画・街道物・役者絵などを手掛けました。二代目歌川国輝となってからは鉄道絵などの開化絵を中心とし、特に蒸気機関車の描写は他の浮世絵師と比べて精緻であると資料としても評価されています。
錦絵の作品には「末広五十三次」「冨士山諸人参詣之図」「東京汐留鉄道蒸気車通行図」「越後国上杉景勝家督争合戦」などがあり、『源平盛桜御所染』『傀儡師筆の操』といった版本の挿絵も手掛けました。
作品名:我艦隊清艦を捕獲する図 3枚続
絵師:尾形月耕
版元:辻岡文助
発行年:明治27年(1894)
尾形月耕は明治時代から大正時代の浮世絵師にして日本画家です。独学で絵を学び、絵ビラや蒔絵、陶器・漆器の下絵を描くことで技術を磨きました。
明治14年(1881)頃に琳派の系統である尾形光哉の家姓を襲名して「尾形」を名乗り、翌年から尾形月耕の名で新聞や文芸雑誌の挿絵を手掛けて人気画家の仲間入りを果たします。明治20年代には水野年方とともに新聞挿絵の双璧として人気を誇ったほか、日清戦争の浮世絵や二葉亭四迷『浮雲』など小説の挿絵「延遼館天覧相撲横綱之図」も描きました。明治20年代後半から30年代後半にかけて出版された『月耕漫画』のほか、『月耕随筆』『百富士』『婦人風俗尽』「江戸山王図」「大寺将軍揮全力襲撃百尺崖之図」などが代表作として知られています。
作品名:西丸皇居ノ真景 3枚続
絵師:揚州周延
版元:長谷川園吉
発行年:明治21年(1888)
揚州周延は美人画や風俗画を得意とした江戸時代末期から明治時代にかけての浮世絵師です。歌川国芳・歌川国貞(三代目歌川豊国)・豊原国周の門人であり、楊洲・楊洲斎・一鶴斎といった画号を用いました。
幕末には幕府による第二次長州征討に従軍して「長州征討行軍図」を描いたほか神木隊や上野彰義隊などとして官軍と戦い、戊辰戦争終結後に故郷である高田藩で処分を受けます。後に再び絵師として活動を再開してからは武者絵や西南戦争絵、宮廷画などを描いて評価を受けます。特に華族や高官夫人、令嬢などの華やかなロングドレスを描いた錦絵は人気を博し、明治時代で一番人気の美人画浮世絵師となりました。
作品名:清国軍艦沈没之図 3枚続
絵師:小国政
発行年:明治27年(1894)
小国政は梅堂・楳堂・柳蛙とも名乗った浮世絵師であり、風俗画・宮廷画・戦争画(日清戦争・日露戦争)などを多数制作しました。作品には「旅順口大激戦ノ図」「福島中佐君帰朝 上野不忍池畔歓迎之図」「歌舞伎座三月狂言 鶴ヶ岡八幡宮社前の場」「第二会廿五年国会議事堂」などがあります。
五代目歌川国政と同一人物であるという説もありますが定かではありません。
作品名:朝鮮異聞 3枚続
版元:坂井金三郎
発行年:明治27年(1894)
戦争絵や開化絵といった浮世絵は美術・歴史関係の専門家からも需要があります
浮世絵には様々な様式がありますが、そのうち戊辰戦争・西南戦争・日清戦争・日露戦争などを題材としたものを「戦争絵」といいます。それに対して歴史や物語で語られる戦いは武者絵や合戦絵と呼ばれます。
戦争絵の代表的な浮世絵師には月岡芳年・河鍋暁斎・楊洲周延・歌川芳虎・歌川貞秀・小林清親などがおり、特に西南戦争は月岡芳年と楊洲周延、日清戦争では小林清親、日露戦争では小林清親や尾形月耕などが中心となって作品を残しました。最も戦争絵のブームを引き起こしたのは日清戦争を題材とした錦絵であり、逆に日露戦争では写真報道の時代を迎えたためブームとならず、日露戦争を機に戦争絵は描かれなくなりました。
開化絵は文明開化によって登場した事物を描いた浮世絵の様式のひとつであり、主に洋風建築・官庁・銀座レンガ通り・蒸気機関車・鉄道馬車・蒸気船・ガス灯・博覧会・洋服などが題材になりました。政治家や自由民権運動、皇室なども描かれています。開化絵を最も精力的に描いたのは三代目歌川広重であり、そのほか歌川芳虎・落合芳幾・歌川芳藤・歌川芳春・小林清親などが手掛けました。
愛書館中川書房では月岡芳年「騎兵体歩兵体散兵大調練之図」「大日本雲揚艦朝鮮江華港測量之際 俄砲発ス兵士憤激上陸シテ台場ヲ破ル図」、三代目歌川広重「東京名所」「東京築地ホテル館之図」、楊洲周延「学校生徒体操ノ図」、小林清親「平壌攻撃電気使用之図」「南山之役我軍乗迅雷風雨突進敵壕」など戦争絵、横浜絵・長崎絵ほか開化絵といった様々な様式の浮世絵・錦絵の出張買取を承っております。
以前には三代目歌川広重「横浜各国商館之図」「大日本物産図会」、歌川芳虎「高輪蒸気車之図」「東都芝浦之風景」、楊洲周延「徳川時代貴婦人之図」「鹿児島暴徒女隊勇戦図」などの浮世絵・錦絵を出張にて買取りさせていただきました。
【当店取扱商品】
作品名:高縄鉄道之図 3枚続
絵師:月岡芳年 木藤年延助筆
版元:九屋甚八寿
月岡芳年ほか浮世絵・錦絵に関する古本の買取強化中!
このほか愛書館中川書房では『浮世絵派画集 全5冊』『浮世絵界 全67冊』『原色浮世絵大百科事典 全11冊』『歌麿全集』など、紙ものだけでなく浮世絵・錦絵に関する画集など古本の出張買取も承っております。
『歴代名作 浮世絵美人画大系 全16枚』『浮世絵文様 全240図』『泥絵と大名屋敷』などお手元に気になる品がありましたらお気軽にご相談ください。
書名:江戸昭和競作 無惨絵 英名二十八衆句
著者:花輪和一・丸尾末広
出版社:リブロポート
発行年:昭和63年(1988)
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