　『古書の街』神田神保町の古本屋・愛書館中川書房の古本・古書買取サイト

第29回東急東横店渋谷大古本市の準備から撤収まで

東急東横店の閉店に伴い、これが最後の開催となった「第29回東急東横店渋谷大古本市」に愛書館中川書房も参加させていただきました。
2月20日（木）から25日（火）の6日間、たくさんのお客様にご来店いただき大盛況のまま終了を迎えました。ご来場いただき誠にありがとうございました。

「東急東横店渋谷大古本市」は年に2回開催していたこともありましたが、会社員の方にご来場いただくことが多かったことから、長期休暇期間にあたる8月のお盆の時期に開催するのが定番となっていました。そのため渋谷の再開発に伴い2020年3月末に東急東横店の閉店が決まったことで、昨年8月の「第28回東急東横店渋谷大古本市」の際には「今回が最後になってしまうのか」というお客様のお声もたくさんいただいておりました。
そして2020年2月、人気催事を復活させる東急東横店の全館イベント「85年分の東横総決算」第3弾の一環として、「第29回東急東横店渋谷大古本市」が開催されることが決定いたしました。

そのため昨年のうちから商品の選定など徐々に準備を始め、1月から本格的に東急東横店渋谷大古本市へ向けた作業を進めました。
戦争関係の原資料や浮世絵師の木版画といった紙もの、江戸時代の和本ほか古典籍、明治時代や大正時代に刊行された初版本や戦後まもなくの文芸雑誌、美術・工芸・茶道・書道・近現代文学といった趣味の本や歴史・仏教・国文学・言語学などの学術書など、様々な分野の古書およそ5000冊をご用意いたしました。

そして「第29回東急東横店渋谷大古本市」の開催初日3日前にあたる2月15日（土）が運送会社さんに集荷に来ていただく日のため、用意した商品をカーゴ5台へ積み込んでいきます。

会場となる東急東横店西館8階催事場への搬入が行われるのは開催前日の2月19日（水）。この日は会場内の設営のため、朝から参加店が集合して一日がかりの作業が行われます。
愛書館中川書房の搬入・設営メンバーは朝10:00集合し、東急東横店様の関係者用の出入口から8階の催事場へ。会場内にはすでに陳列用ワゴンやガラスケース、ディスプレイパネルなどを用意していただいています。

運送会社さんに商品の入ったカーゴを会場へ搬入してもらったら、いよいよ陳列作業開始です。なお、18店舗分の在庫となると商品も膨大な数になるためカーゴの搬入は午前と午後の複数回に分けて行われます。

商品が届いたら、あとはひたすら陳列するのみ。各自が用意した木箱などを使いながら、各書店の店主・店員が工夫して売り場を作っていきます。

愛書館中川書房ではまず壁面の木箱から。商品を取り出した際にズレたりしないよう、きっちりテープで固定しながら積んでいきます。単行本を入れる際には木箱を横向きに、大判本を入れる際には木箱を縦向きにして組み上げていき、その上には透明なビニールに入れた全集などのセットものや分厚い大判本を並べます。手に取りにくい場所に置いた商品には、書名・金額などを書いたプライスカードを貼り付けます。
木箱の陳列が完成したら次は平台の陳列です。四六版の単行本は3列、菊判の単行本の場合は2列+隙間に横向きの菊判というように本のサイズに合わせて並べていきます。

事前に陳列のシュミレーションはしますが、実際に並べてみるとうまく行かないことも。見やすさやバランスを見ながらお客様が商品を手に取りやすい陳列を心がけます。

一方こちらはガラスケースの陳列。目録のカラーページに掲載した商品など、和本や紙ものほか木箱や平台だと傷つきやすいものはガラスケースの中または上に陳列します。
今回は茶道・美術・国文学・漢学・地誌・仏教・理工学ほか江戸時代や明治時代に刊行・書写された和本・漢籍、明治時代や大正時代に刊行された小説ほか作家の初版本や文芸誌、江戸時代の浮世絵師の作品を手摺りで復刻した作品集などを並べました。

また、今回は最後の「東急東横店渋谷大古本市」ということで、2つの企画が開催されました。渋谷や東京に関する書籍を集めた「なつかしの渋谷・東京」コーナー、全巻揃ったセットや初版本などのレアな品を集めた漫画コーナーです。
こちらの商品は参加店共同となっており、「なつかしの渋谷・東京」では名所絵や古地図などの紙ものや大判本・単行本・文庫本など関連書籍が様々並びました。レジ隣の漫画コーナーでは古いものから近年のものまで幅広い年代の漫画が並び、壁面には作品のポスターやポストカードなどが飾られました。

途中にお昼休憩や小休憩をとりながら作業を進め、全ての参加店の設営が終わったのは19:00を過ぎてから。朝と比べて会場内もすっかり様変わりしました。

「第29回東急東横店渋谷大古本市」が開催された6日間は比較的天気にも恵まれ、今回が最後の開催ということもあり初日から最終日までたくさんの方にご来場いただきました。

6日間にわたって開催された「第29回東急東横店渋谷大古本市」は2月25日（火）の18:00に無事閉場。最後まで熱心に書棚を見てくださった皆様、ありがとうございました。
会場からお客様が退出されると、扉を閉めて撤収作業が始まります。

「第29回東急東横店渋谷大古本市」の次に開催される催事の準備もあるため、限られた時間の中でたくさんある商品を丁寧かつスピーディーに作業していきます。また、カーゴ1台につき積める量には制限があるため、規定を超えないように注意して積み込んでいく必要があります。

撤収作業は2時間ほどで終了し、陳列されていた本を積んだカーゴは運送会社さんによってすべて運び出されました。中川書房のスペースもあっという間に何もない広い空間へ。

おかげさまで今年も無事に「東急東横店渋谷大古本市」を終えることが出来ました。3月31日（火）に東急東横店が幕を閉じるため、29回目を迎えていた「東急東横店渋谷大古本市」も今回が最後の開催となります。
これまでご来店くださったお客様、目録を見てご注文くださったお客様、長い間ご愛顧いただき誠にありがとうございました。また、東急東横店の皆様ほかご協力くださった各業者様に感謝申し上げます。
いつかまた「渋谷大古本市」としてどこかでお会いできればと思います。

カテゴリ：即売会・展覧会情報 > 東急東横店渋谷大古本市