工芸家・芹沢銈介の型染絵画集『十三妹挿絵集』の古本を出張買取いたしました
20世紀の日本で活躍した染色工芸家の芹沢銈介が「型染絵」で制作した画集『十三妹挿絵集』の古本を出張にて買取りさせていただきました。大切にされていた品をお譲りくださりありがとうございます。 なお、こちらの書籍と一緒に歴史関係の古本も買取りさせていただきました。詳しくは「『現代史資料』ほか歴史(日本近現代史)関係の古書を大量出張買取」をご覧ください。
- 出張買取
- 2022年5月22日
地 域 | 神奈川茅ヶ崎市 |
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買取分野 |
【商品詳細】
- 書 名 : 十三妹挿絵集
- 著 者 : 芹沢銈介
- 出版社 : 吾八
- 発行年 : 昭和42年(1967)
- 備考 : 限定180部 漆箱 型染筆彩画50葉 別冊付
芹沢銈介『十三妹挿絵集』ほか工芸や美術に関する画集や作品集は愛好家や蒐集家などから人気があります
明治28年(1895)に静岡県のとある呉服卸商の次男として生まれた芹沢銈介は、幼い頃に絵の才能を開花させ、中学校時代には絵画倶楽部を結成し、岸田劉生や中川一政といった画家の作品を愛好しました。そのため画家になる夢を持っていましたが、卒業する直前に実家が全焼したことで美術学校への進学を諦め、東京高等工業学校(現在の東京工業大学)の工業図案科へ進学しました。
大正5年(1916)に工業学校を卒業した芹沢銈介は、地元の工業試験場で図案指導を行ったり、大阪で技師として働いたのち、近所に住む女性と手芸グループを立ち上げます。蝋を溶かして模様を描いてから布を染める「ろうけつ染め(蝋結染)」、布の一部を縫ったり縛ったりしてから染める「絞り染め」を用いて作品を制作し、「全国家庭手芸品展覧会」で最高賞を受賞するなどしました。
芹沢銈介が「型染め」を始めたのは昭和4年(1929)のことで、その背景には美術評論家の柳宗悦、そして沖縄の伝統的な染織技法「紅型」の影響があります。色彩や模様に関して天賦の才を持っていた芹沢銈介は、紅型を理想としながら型染めの作品を次々に生み出したほか、民芸運動の同人雑誌「工芸」や柳宗悦の著作といった書籍の装幀も手がけました。
昭和9年(1934)には上京して蒲田に工房をかまえますが、第二次世界大戦が勃発すると芹沢銈介の工房や自宅は空襲で焼かれてしまったため、終戦後は型染のカレンダーや団扇、マッチラベル(燐票)といった狭い空間でも作れる作品を制作していきました。昭和26年(1951)にようやく自宅と工房の建築が終わり、昭和30年(1955)に芹沢染紙研究所を設立すると、優れたデザインと品質、そして手ごろな価格で手に入れられる品物は非常に人気になりました。翌年には「型絵染」が重要無形文化財に、芹沢銈介は技術保持者として人間国宝に指定されたことでその知名度は全国規模となります。さらに昭和36年(1961)には新聞掲載された佐藤春夫の小説『極楽から来た』において挿絵全てを型染めで制作したことで作品の愛好家は益々増えていきました。
買取りさせていただいた芹沢銈介の『十三妹挿絵集』は、小説家である武田泰淳が清末期の武侠小説『児女英雄伝』を題材として執筆した新聞小説『十三妹』の挿絵をまとめた「型絵染」の作品集です。芹沢銈介のほか武井武雄・川上澄生・関野凖一郎といった版画家の作品を手がけた吾八(ギャラリー吾八、吾八書房)から刊行されました。
型染筆彩画が50葉収められた『十三妹挿絵集』は180部のみしか刊行されなかったため、芹沢銈介の作品を愛好する方から需要のある古本です。染色などの工芸や版画などの美術に関する画集・作品集には通常出回る普及版以外に、限定版や特装版、豪華版といった名称で装幀の異なるものが刊行される場合があります。流通数が少ないことが多いので、愛好家や蒐集家の方から好まれます。
愛書館中川書房では『綾錦 全11冊』『琉球古紅型 全4冊』『染織大鑑 全3冊』『非水創作図案集』『極楽から来た挿絵集』など染織(染色・織物)に関する古本の出張買取を承っております。
以前には『草木染 染色歳時記』『日本染織譜』『正倉院宝物 染織 上下2冊』『和染絵語』『西陣織物館記』などの工芸関係の古本を出張にて買取りさせていただきました。
染織や図案など工芸に関する古本の出張買取については、買取事例「多色刷木版画『西洋草花図譜』ほか美術(染織工芸)の古本を大量出張買取」「芸艸堂『景年花鳥画譜』ほか美術(木版画)関係の古書を出張買取」でもご紹介しています。
【当店取扱商品】
書名:芹沢銈介蔵書票作品集
著者:芹沢銈介
出版社:吾八
発行年:昭和59年(1984)
備考:限定150部
書名:古琉球紅型 第1・2期 全200葉
著者:鎌倉芳太郎編著
出版社:京都書院
発行年:昭和49年(1974)
染織・漆・金工・陶磁器・刀剣ほか工芸に関する古本の買取強化中!
このほか愛書館中川書房では『最新工芸大観』『正倉院の木工』『正倉院の金工』『日本漆工の研究』『日本組紐古技法の研究』など、染織だけでなく漆・金工・陶磁器・刀剣・ガラスといった様々な工芸に関する古本の出張買取も承っております。
『日本陶磁 出光美術館蔵品図録』『日本陶芸巨匠大観 全2冊』『新日本の刺繍 上下2冊』『こけしの世界』『国宝刀剣図譜』などお手元に気になる品がありましたらお気軽にご相談ください。
書名:小袖模様雛形本集成 全4巻32冊
著者:山辺知行監修 上野佐江子編集
出版社:学習研究社
発行年:昭和49年(1974)
書名:手漉和紙大鑑 全5冊
出版社:毎日新聞社
発行年:昭和48年(1973)
愛書館中川書房は東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県など関東地方を中心に全国各地へ出張買取にお伺いしております(内容・量・地域によっては出張や買取りができない場合があります)。詳しくは買取りの流れをご覧ください。
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