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『首都博物館蔵硯拓片冊』など中国書道関係の古書を出張買取いたします

愛書館中川書房では、『首都博物館蔵硯拓片冊（首都博物馆藏砚拓片册）』ほか硯など書道具や中国書道に関する古書を買取りしております。

書名：首都博物館蔵硯拓片冊（首都博物馆藏砚拓片册）
出版社：北京民政局工芸美術品廠（北京民政局工藝美术品厂）制作
発行年：1992年
備考：限定25部実拓本文手書き

『首都博物館蔵硯拓片冊』と一緒に買取りさせていただいた書道・硯関係の古書については買取事例「『首都博物館蔵硯拓片冊』ほか書道(硯)関係の古本を出張買取いたしました」にてご紹介しております。

『首都博物館蔵硯拓片冊』ほか硯や書の拓本・拓帖といった中国書道関係の古書は蒐集家・愛好家から人気があります

書道の発祥地である中国では、筆・墨・硯・紙の4つを合わせて文房四宝と呼びます。そのうち最も重んじられているのが硯であり、中国産の石で作られた硯のことを唐硯と呼びます。
硯には陶製・石製・木製・ガラス製などがあり、鋒鋩（凹凸）のきめ細やかさ、保水性、墨落ちのしやすさなどによって良し悪しが決まります。唐硯では特に端渓硯・歙州硯・洮河緑石硯・澄泥硯と呼ばれる石硯が有名で、このうち端渓硯は細かい彫刻に向く材質であることから硯そのものに優美な彫刻が施されているものも多く、製作年代によっては骨董品としての価値が高くなっています。
硯の愛好家のことを中国では「硯痴」または「硯狂」と呼びます。北宋の書家である蘇軾（蘇東坡）や米芾、清代中期の画家である高鳳翰が愛好家として知られています。なお、硯には所有者や鑑識者による銘文が彫られている場合もあります。

硯の鑑賞方法には「硯拓」や「洗硯」などいくつか種類があります。硯の上に紙を置いてから湿らせ密着させてから墨をつける「硯拓」では、写真では分からない細かな彫刻を楽しむことができます。一方の「洗硯」は水に浸すことで石そのものの紋様を味わいます。

こちらの記事でご紹介している『首都博物館蔵硯拓片冊』は、中国の北京市西城区にある首都博物館に収蔵されている有名な硯30点の拓を折帖にまとめた硯譜です。1981年に北京孔子廟内に作られた首都博物館は、青銅器・陶磁器・玉器・彫刻・印章・書画・織物・木製器具・貨幣・文具・民間工芸遺品など約25万点を収蔵しています。収蔵スペースの関係から、2006年に現在の新館へと移転しました。

『首都博物館蔵硯拓片冊』に収録されているのは清代の硯拓が中心ですが、唐代や明代の硯も収録されています。硯の表面だけでなく、側面や背面、蓋の拓が一緒に収録されているものもあり、細かな部分まで読み取ることができます。また、余白部分には産地や年代、サイズ、由来などの情報が手書きで記されています。

六朝井跡磚硯・硯背

澄泥長方形深池硯・硯側

魚子石硯、端石荷葉式隨形硯

清乾隆瑞石鴨形硯、清乾隆霊芝長方硯

博物館に収蔵されるような年代物の硯は取扱いに注意が必要なほか、経年による摩耗などがあるため現代の硯よりも綺麗に拓をとるのが難しく相応の技術が必要になっています。また、完成した硯拓は裏打ちすることで凹凸をなくしますが、一般的な書籍のように印刷機で文字を刷ることは難しいため、限定25部のような少量の制作になってしまいます。そのため『首都博物館蔵硯拓片冊』のような美術的・歴史的価値のある硯の拓をまとめた硯譜は、愛好家などから人気があります。

首都博物館の収蔵品は『首都博物館蔵古璽印選全8冊』『影印明拓停雲館法帖全2冊』『首都博物館蔵古代瓦当選』『齊白石印譜』『首都博物館館蔵名硯』などで見ることができます。
また、制作を担当した北京民政局工芸美術品廠は『寧斧成印譜全6冊』『三硯室印存全2冊』『曽威印稿全2冊』『頓立夫印譜遺作集全2冊』ほか、『首都博物館蔵硯拓片冊』以外にも印譜など書道関係の書籍を手がけています。