『古書の街』神田神保町の古本屋・愛書館中川書房の古本・古書買取サイト
夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬ほか版画・美術関係の古書買取致します
愛書館中川書房では、『夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬』ほか版画・美術関係の古書を買取りしております。
書名:夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬
著者:川瀬巴水画/林望詩・文
出版社:講談社
発行年:平成10年(1998)発行
川瀬巴水(本名・川瀬文治郎)は大正から昭和にかけて活躍した浮世絵師・版画家です。近代風景版画の第一人者として、また版画家の吉田博らとともに「新版画」を確立したことでも知られています。
「新版画」とは明治30年頃から昭和にかけて描かれた木版画のことを言います。江戸時代に誕生した浮世絵版画は日清戦争を描いた戦争絵の一時的な流行を最後に、徐々に衰退していきました。こうした浮世絵の衰退を憂いた浮世絵商・渡邊庄三郎が自ら版元となり新時代の浮世絵制作を製作し、その作品が「新版画」と呼ばれることになります。「新版画」は伝統的木版画(浮世絵木版画)や錦絵の技法と同様に絵師が絵を描き、彫師が版木を彫り、摺師が版木の上で紙を刷って製作され、風前の灯となった伝統的な浮世絵の近代化・復興を目指したとされています。伝統木版の高度な技術を残しつつ、絵師の意志をも尊重して芸術版画を作りたいという版元の意図から大正時代の「新版画」が始まりました。
川瀬巴水は海外での評価も高く、その人気は葛飾北斎や歌川広重と同等です
10代のころから画家を志していた川瀬巴水は25歳の時に日本画家・鏑木清方の門を叩きます。しかし25歳という遅い始まりということから洋画家の道を勧められ学ぶこととなりますが、洋画の世界で挫折を経験し27歳の時に再度鏑木清方に入門を申し出ます。そこで約2年間の修行を経て「巴水」の画号を与えられました。その後、同門である伊東深水の版画『近江百景』に影響を受け版画家へと転向し、のちに「新版画」の版元となる渡邊庄三郎と知り合い渡邊版画店から塩原三部作(『塩原おかね路』『塩原畑下り』『塩原塩釜』)を発表、以後生涯に渡って日本各地を取材や旅行した際に写生した絵を原画とした版画作品を数多く刊行しました。雪・月・花・雨・夕暮・夜などをはじめ日本的な風景を美しく叙情豊かに表現しており「旅の版画家」「旅情詩人」「昭和の広重」などと呼ばれ、日本国内だけでなく海外での評価も高く、今もなお葛飾北斎や歌川広重らと並んで称される程の人気があります。
巴水は74歳で生涯を閉じるまで日本全国さらには朝鮮などにも行き、旅先で写生し東京に戻って版画を制作するという暮らしを続け、生涯の3分の1を旅に費やしたとも言われています。生涯600点余りの作品を残しましたが巴水の木版画の特徴の1つに「巴水ブルー」と称される巴水独特の「青色」があります。描かれる水や空を微妙に異なる色彩を使い分けて表現されており、その美しさは日本だけでなく欧米をはじめとする海外でも人気を誇っています。アメリカ・アップル社の共同設立者の一人である故・スティーブ・ジョブズも川瀬巴水を特に好んでおり「新版画」の蒐集家であったとされています。来日の際には巴水の風景画のほか、橋口五葉や伊東深水らの美人画など多数購入し蒐集していたと言われています。
巴水の代表的な作品として、無形文化財技術保存記録にも認定された『増上寺の雪』の他、『木場の夕暮れ』『井のかしらの残雪』『深川上の橋』『馬込の月』『芝増上寺』『浅草観音乃雪晴』『三十間堀の暮雪』『谷中の夕映』など東京の風景を描いたシリーズ『東京十二題』『東京二十景』『東京12ヶ月』、『出雲 美保の関』『飛騨中山七里』『別府の夕』『若狭 久出の浜』『奈良 二月堂』『石見有福温泉』などの『旅みやげ』シリーズ、朝鮮へ写生旅行に行った際に制作した『朝鮮八景』などが挙げられます。
『夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬』は川瀬巴水の昭和初期の美しい日本の風景を描いた叙情あふれる版画作品がカラーで30数点掲載されており、そこに林望の詩や文章が添えてある詩画集となっています。川瀬巴水の描く夕暮れ時や夜景、さらには雨や雪に魅せられた「リンボウ先生」の愛称でも知られる作家・林望がノスタルジックに綴り上げた詩や文章が郷愁を誘います。
川瀬巴水ほか、浮世絵・版画に関する古書の買取りを強化中!
愛書館中川書房では『川瀬巴水遺作 日本新八景 付・山川秀峰美人版画 全10図』『川瀬巴水木版画集』『抒情の詩 大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水』『Kawase Hasui The Complete Woodblock Prints』など川瀬巴水に関する古書の他、『歌麿筆浮世絵美人画』『北斎富嶽三十六景 手摺木版画 全四十六枚揃』『歌麿筆浮世絵美人画 全48枚』『七つのリトグラフ 池田満寿夫オリジナル版画集』『伊藤晴雨画集 限定版』『畦地梅太郎作品集 全14冊』といった浮世絵・版画・画集・作品などの古書出張買取も承っております。お手元に気になる本がありましたらお気軽にご相談ください。
【古書出張買取専用フリーダイヤル 0120-489-544】
カテゴリ:取扱書籍 > 美術・建築・写真など
2009年6月5日
※電話・メール相談の前に必ずこちらからご利用方法をご確認ください。
※一部商品において、お引取り等が出来ない商品もございますことをご了承ください。